GINJI200Nの直焦点撮影対策
Written by S.Yoneyama

GINJI200Nで一眼レフデジカメによる直焦点撮影撮影を可能にする対策です。
笠井トレーディングのGINJIシリーズは、元々がドブソニアンとして眼視用でした。その為、一眼レフデジカメでの直焦点撮影は考慮されておらず、
実際にアイピースホルダーを外しドローチューブを引っ込めた接眼部にEOSのマウント部を押し付けてもピントは合いません。

EOS直焦点で月や太陽黒点を撮影撮影したいので、何とかしようと笠井さんに確認したら20mm位は主鏡を前に出しても問題無いとの回答だったので、
主鏡の光軸調整用のネジを調整して主鏡を目一杯前に出しました。

しかし、ビクセンの60mmワイドアダプターを使ってEOSをセットすると、まだピントが合いません。それなら5mm位長めのネジに取り替えればと気楽に
考えたのですが、簡単には済みませんでした。
M6の押しネジは問題無いのですが、引きネジが国内では製造されていないM7なのです。ネジの専門店にも無く、インターネットでM7ネジを探しても
販売している所は無し。特殊ネジを製造している会社に問い合わせると、3本で1万5千円から2万円との事で諦めました。

主鏡ホルダーのネジ穴をM8に開け直す事も考えましたが、最後にもう一度、今度はM7ボルトでネット検索をしたら、フランスやドイツからの輸入車の
改造・修理を行っている業者が輸入したM7ネジを在庫していることが判り、やっとの事で入手できました。1本100円位のネジを入手するのに半月かかりました。
欧州ではM7ネジは標準で使われている様です。何故日本では使われないのでしょう。

入手したM7ネジは少し長いので切断して交換した結果、ピントが合いました。結局GINJI購入時の位置から約20mm主鏡を前に出しました。
GINJIの光軸調整ネジを交換していて気が付いたのですが、ネジの配列がビクセンのR200SSと異なっています。R200SSは、押しネジと引きネジが対で並んでおり、
一ヶ所の引きネジと押しネジを一緒に調整する構造です。
しかし、GINJIは引きネジと押しネジが60度の等間隔で交互に配置されています。そして引きネジ部分に押しバネが付いているのです。その為、引きネジを
緩めると押しネジを押し込まなくてもバネで鏡筒が前に出るのです。これを理解したら光軸調整がかなり楽に出来る様になりました。
まず、押しネジを3本とも緩めて、3本の引きネジだけで、光軸を調整し、最後に押しネジを軽く止るまでねじ込めば良いのです。
今回のネジ交換では、バネも長い物に交換しました。
オリジナルの主鏡ホルダー
オリジナルの主鏡ホルダー
約20mm押し込んだ主鏡ホルダー
約20mm押し込んだ主鏡ホルダー

GINJI200Nの直焦点撮影の適合性確認


GINJI200Nの直焦点撮影の適正度合いを確認する為に、画像の周辺状況を確認してみました。
下の左が、GINJI200N+コマコレクタ+EOS KissDXで撮影した画像の4隅の状況で、右が、R200SS+コマコレクタ+EOS KissDXで撮影した画像の4隅の状況です。

GINJI200Nは自宅でM13をISO1600の2分露出で撮影した画像、R200SSは、三崎町でM5をISO1600の3分露出で撮影した画像です。
共に周辺部を1/2サイズにリサイズしてトリミングしています。各画像をクリックすれば大きなサイズの画像が表示されます。

GINJI200Nは、周辺部のコマ収差が少ない事が判ります。焦点距離が長いので単純比較は出来ませんが、GINJI200Nとビクセンのコマコレクターの相性は良さそうです。
GINJI200Nでの直焦点画像の4隅
GINJI200Nでの画像の4隅
R200SSでの直焦点画像の4隅
R200Nでの画像の4隅

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from 2006.11.10