Registaxの処理方法例
惑星画像の処理に使われるRegistaxの処理方法には、各自各様の工夫をされていると思います。   
以下に、これからRegistaxを使われる方や、処理方法に悩んで居られる方に参考になればと思い   
私の処理方法を整理してみました。Registaxの最新はVer.4ですが、使用しているVer.3で説明します。

1.アライメントの準備
1.アライメントの準備
1.アライメントの準備
開くボタンで処理対象のAVIファイルを読み込みます。
@フレーム一覧ボタンを押してフレームリストを表示
 させます。
 フレームリストでFrame1から順じ各フレームを表示
 させて見た目が良さそうなフレーム(模様が良く見え
 周辺がシャープなフレーム)を探します。
A惑星像の全体が収まる大きで一番小さい調整枠を選択
 し、カーソルを惑星像の上に持って行き、惑星像が
 調整枠の中央に入る様に調整枠の位置を決めます。
B調整枠を置くとFFTスペクトルとInitial optimizing
 runが表示されます。
 FFTスペクトルは、通常は表示された状態ですが、
 数値が大きくスペクトル表示が小さい時は、値を2〜4に
 変更します。
C画質ボタンを押して画質設定を表示させます。
 Initial optimizing runの表示で、Quality Filterの
 緑色の縦線が、FFT Filterの青色の縦線を左右から挟む
 様にします。
 私は、左側の緑色の縦線は、赤いグラフ線の傾斜角度が
 変わる付近になる様に設定し、
 右側の緑色の線は、Quality値が0.2以下になる様に
 設定します。
D画質の下限値を設定します。私は、80%〜90%にして
 います。
 上記の設定を行った後、調軸ボタンを押して処理を
 開始させます。その時に自動処理を選択して置けば、
 調軸(アライメント)、最適化、合成が自動的に処理
 されます。

なお、ちょっと大変ですが、全フレームを目視で確認して、状態の悪いフレームをスタックから除外(フレーム番号の左のチェックをスペースキーを押して外す)してから処理すると良い結果が得られます。
2.スタック結果の確認
2.スタック結果の確認
2.スタック結果の確認

@調軸(アライメント)、最適化、合成の自動処理が終了
 すると、ウェーブレット処理が表示されますが、一旦
 合成プロセスに戻ります。

A合成プロセスで、右下の合成グラフのボタンを押して
 グラフ合成を表示させます。
 グラフの中の赤線は、各フレームの画質を示し、青線は
 Registrationの誤差を示していると思っています。

B青線は上下に振幅がありますが、全体的に水平か、
 右上がりであれば、最初に選択したフレームが適正な
 レベルだったので、以下は省略して、次の3.の
 低クォリティフレームの除去に進んで下さい。

Cもし、青線が全体的に右下がりだったり、一度下がって
 また上がる様なカーブを描いている場合は、Qualityが
 高めでRegistration Differennceが低いフレームに
 Quality Cuttoffのスライドバー移動させます。

Dその時、最下段のProcessing Frameのフレーム番号を
 記憶します。
 そして、開くプロセスに戻り、再度処理するファイルを
 読み込み、記憶したフレーム番号のフレームを選択して
 最初からやり直します。
3.低クォリティフレームの除外
3.低クォリティフレームの除外
3.低クォリティフレームの除外

調軸(アライメント)、最適化、合成の自動処理終了後
合成プロセスに戻り、合成結果をグラフで確認し、青線が全体的に水平か、右上がりであれば、

@Registration Differennceのスライドバーを調整し
 誤差が大きいフレーム(青線が上に伸びているフレーム )をカットします。

AQuality Cuttoffのスライドバーを調整しQualityの
 低いフレームをカットします。

B全体的にQualityが高い場合は、最終的にスタック
 されるフレーム数を見て決めても良いでしょう。
 私は、900〜1200フレーム程度にしています。

Cカットラインを決めたら、左上の合成ボタンを押して
 再度、合成処理を行います。
4.ウェーブレット処理の準備
4.ウェーブレット処理の準備
4.ウェーブレット処理の準備

@スタック画像の輝度が高過ぎる場合は、コントラスト
 ボタンを押すことで表示されるしてコントラストと
 明るさで、明るさを 暗めに調整します。

A大気のプリズム効果で、色ズレが発生している場合は、 RGB変位ボタンを押すことで表示されるRGB変位で
 RチャンネルとBチャンネルを調整します。
 画像をクリックすると調整結果が表示されます。

BWebCamなどで撮影時に、ホワイトバランスの調整が
 不完全な場合は、ヒストグラムボタンを押して、RGBの
 輝度を調整します。
 (私は利用したことがないので省略します) 
5.シーイングが良い時のウェーブレット処理
5.シーイングが良い時のウェーブレット処理
5.シーイングが良い時のウェーブレット処理

@シーイングが良い場合は、ウェーブレット構成で線形を
 選択し、
Aレイヤー6を多めに
Bレイヤー5をレイヤー6の値の半分位に設定します。
C画質が荒れなければレイヤー4も少し上げても良いで
 しょう。

なお、シーイングが非常に良い場合や、目視で良好な
フレームを選択して、高画質のスタック画像の場合は、
レイヤー1と2を僅かに上げると良い結果が得られるとの事ですが、私は、まだその様な画像を撮影した経験は
ありません。
6.シーイングが悪い時のウェーブレット処理
6.シーイングが悪い時のウェーブレット処理
6.シーイングが悪い時のウェーブレット処理

@シーイングが悪い時は、ウェーブレット構成で2の階乗
 選択し、
Aレイヤー2を少し多めに
Bレイヤー3をレイヤー2より少なめに調整すると良い
 結果が得られます。

なお、ウェーブレット処理は、惑星の周辺部に明るい
縁取りを発生させない程度に留める様にします。
特に火星の場合あは、東西の周辺部に写る朝霧や夕霧、
極地方の雲の描写を大切にします。
7.仕上げ処理と保存
7.仕上げ処理と保存
7.仕上げ処理と保存

@ウェーブレット処理が終了したら、最終プロセスに移り
 画像を回転させ惑星の向きを調整します。
 私は、模様を比較し易い様に、惑星の南を上にします。

A最終プロセスでも色合い、飽和度、明るさの調整が可能
 なので、必要に応じて調整します。

B保存ボタンを押して、目的に応じたフォーマットで保存 します。
 なお、FIT形式で保存すると、回転は無視されます。

C上端にある保存ボタンを押すと、調軸、最適化、合成の 自動処理過程が記録されます。
 その記録を使うと、同じ処理を短時間で再現できます。
 仕上げた画像を間違って削除した時などは、その記録が
 あると、再現が容易です。
8.ウェーブレットフィルタ1/2
ウェーブレットフィルタ1/2
8.ウェーブレットフィルタ1/2
火星では顕著ですが、惑星は衝の時期以外は、片側が
欠けて見えます。
欠け際と反対側では、縁のシャープさが異なる為、欠け
際をはっきりさせようとすると、反対側の縁にムラが
発生し易くなります。

@明るい側の縁のムラ軽減策として、ウェーブレット
 フィルタが有効な場合があります。

Aウェーブレットプロセスの右側にあるウェーブレット
 フィルターのボタンを押すと、ウェーブレットフィルタ
 調整窓が開きます。
9.ウェーブレットフィルタ2/2
ウェーブレットフィルタ2/2
9.ウェーブレットフィルタ2/2

@ウェーブレットフィルタのデフォルトは「中心50、
 その周囲一マスが6」にセットされていると思いますが
 この周囲一マスのパラメータの明るい縁側をやや低く
 (4〜5位)すると、そちら側の処理が弱めに調整
 される様です。

Aパラメータを調整してから設定ボタンを押すと、調整
 結果が反映されます。

Bあんまり低くし過ぎると左右の処理バランスが崩れて
 しまうので注意が必要です。

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from 2008.01.20