Written by S.Yoneyama

• ここは、星や天文に興味を覚え始めた人へ、１９９８年に見られる面白い事象を紹介するページです。
  
  各情報やデータは、株式会社誠文堂新光社発行の“天文年間”　や　 株式会社アストロアーツ 発行の“スカイウオッチャー”を参考にした物です。興味を持たれ、より詳しい情報を知りたくなったら、上記の本や雑誌を購入して見て下さい。
  特に、“スカイウオッチャー”の1998年１月号には、主だった現象が解かり易く書かれているので便利です。
  また、“天文年間”には、ほとんど全ての天文現象や各種情報が詳しく記載されているので、重宝すると思います。

目次

・惑星達や月のランデブー
・惑星大集合
・惑星食
・日食
・月食
・水星観測の好機
・流星群

• 惑星達や月のランデブー
  

  今年も惑星達や惑星と月が何度も接近します。惑星達や惑星と月の接近は地味なイベントですが、明るい惑星同士や月と明るい惑星が夜空に並ぶ姿は、眺めて面白いと思います。 その中でも、４月下旬の金星と木星の接近は明るい惑星同士でもあり、かなりの見物だと思います。金星と木星のそばには月も見えています。 また、9月11日の水星と金星の大接近は、明るい金星を案内として普段なかなか見れない水星をみる絶好のチャンスです。 月との接近では、1月から3月は土星が、3月から12月は木星が毎月接近し、惑星食となりますが、残念ながら日本では見れません。 また、11月14日未明には、関東地方以北で火星の出現食（月に隠されていた火星が出てくる方）が見れます。 写真撮影も可能です。ＩＳＯ４００以上の高感度フイルムを使用し10秒から30 秒程度の露出での固定撮影で結構写ります。その地方の有名な物等の地上風景も取り入れれて撮影すると面白いでしょう。

  月日 時刻 対　象 離隔 見ごろ時刻 方角 1/ 5 21:13 土星と月(6.8) 0゜12' 1/ 5 20時−21時 南西 1/21 10時 火星と木星 0゜12' 1/21 18時頃 西 1/30 02:05 木星と月(1.4) 2゜02' 1/29 17時−18時 西 2/ 2 05:38 土星と月(4.6) 0゜39' 2/ 1 18時−19時 西 3/ 1 18:09 土星と月(2.7) 0゜59' 3/ 1 17時−18時 西 3/25 04:01 金星と月(27.1) 0゜06' 3/25 06時頃 東南 3/26 20:33 木星と月(27.8) 0゜49' 3/26 06時頃 東南 4/23 11時 金星と木星 0゜18' 4/23 05時頃 東南 16:12 木星と月(26.2) 0゜13' 同上 東南 16:31 金星と月(26.2) 0゜05' 同上 東南 5/21 08:16 木星と月(24.5) 0゜21' 5/21 03時−04時 東 5/23 06:50 金星と月(26.4) 1゜41' 5/23 04時頃 東 17:13 土星と月(26.9) 1゜44' 5/23 04時頃 東 5/29 11時 金星と土星 0゜16' 5/29 04時頃 東 6/17 20:01 木星と月(22.7) 0゜48 6/18 02時−04時 東南 7/15 03:45 木星と月(20.6) 1゜00' 7/15 02時−04時 東南 7/25 22:32 水星と月(2.1) 2゜06' 7/25 19時30分頃 西 8/ 5 12時 金星と火星 0゜51' 8/ 5 04時−05時 東 8/11 08:51 木星と月(18.4) 0゜52' 8/10 22時−27時 東南 8/28 06:18 金星と水星 2゜15' 8/28 04時30分頃 東 9/ 7 13:13 木星と月(16.1) 0゜31' 9/ 7 22時−25時 東南 9/11 9時 金星と水星 0゜21' 9/11 05時頃 東 9/20 03:20 金星と月(28.7) 0゜05' 9/20 06時頃 東 10/ 4 18:29 木星と月(13.7) 0゜13' 10/ 4 20時−24時 東南 11/ 1 01:16 木星と月(11.3) 0゜13' 11/ 1 19時−22時 東南 11/14 02:54 火星と月(24.3) 0゜32' 11/14 04時頃 東 11/28 09:31 木星と月(8.8) 0゜36' 11/28 19時頃 南 12/17 09:14 水星と月(27.8) 2゜32' 12/17 06時−07時 東南 12/25 19:32 木星と月(6.5) 1゜12' 12/25 18時−19時 南西

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• 惑星大集合
  ４月下旬から５中旬にかけて、明け方の東の空に、水星・金星・木星・土星の４大惑星が勢揃いします。
  一番の難物の水星の西方最大離隔が５月５日ですから、丁度ゴールデンウィークの頃が見ごろですね。
  明け方の空に浮かぶ惑星達を眺めながら気持ちの良い夜明けを迎えるのも粋なものですよ。
  東の方角が開けた場所を探しておいて、ちょっと早起きして見ましょう。私は天気が良ければ、富士山の五合目に出かけるつもりです。
  また、５月下旬には月も加わり、賑やかな眺めだと思います。
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• 惑星食
  11月14日の未明に、関東地方以北で火星食が見られます。とは言っても、月出の時には既に火星は月に隠されており、月が昇ってまもなく火星が月の暗い縁から出現するので、観察の条件は余り良くありません。
  出現時刻は１時５８分過ぎです。（月出は、札幌で1:17、仙台で1:22、新潟で1:30 、東京で1:28です。）
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• 日食
  
  • ２月２７日に南米のコロンビアとベネズエラの北端で皆既日食が見れます。運良くその時期に同地域に行かれる方は、日食の観察を計画して見てください。
  • ８月２２日に南太平洋で金環日食が見られます。日本では、南西諸島・九州・四国・中国地方西部・近畿地方南部で部分日食が見れます。ただし、食分は那覇で２８％、鹿児島で１１％、福岡で５％、和歌山で１％と非常に僅かな欠けかたで、日食がある事を知らなければ気が付かないと思われます。食の最大は10時頃です。
    日食の開始−終了時刻は、那覇：8:49-11:00、鹿児島：9:15-10:40、福岡：9:29-10:26 です。
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• 月食
  残念ながら1998年は、本影月食がありません。半影月食も日本で見られるのは９月６日（18:14-22:06）の１回だけです。
  半影月食は、僅かに暗くなるだけでそれほど見栄えのする対象ではありません。写真撮影だと多少は暗くなった月が分かると思います。
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• 水星観察の好機
  太陽に近くて、なかなか見る機会の少ない水星ですが、比較的見易くなる時期を以下に示します。年に一度は対面したいですね。
  それぞれの方角が地平線まで開けた場所で探して下さい。なお、月や明るい惑星と接近する場合は、それを案内役とすれば探し易くなると思います。
  
  ・夕方の空
  

  観察最適時期	方角	日没時高度	案内役
  ３月２０日前後	西	１８度
  ７月１７日前後	西	１７度	月（７／２５）

  
  ・明方の空
  

  観察最適時期	方角	日出時高度	案内役
  １月　６日前後	東南	１７度
  ８月３１日前後	東	１７度	金星（８／２８、９／１１）
  12月２０日前後	東南	１７度	月（１２／１７）

  
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• 流星群
  今年は流星観察の当たり年だと思います。まずは、ジャコビニ流星群としし座流星群です。流星群の母彗星である、ジャコビニ彗星とテンペル・タットル彗星が回帰し、大出現が期待されるからです。特にしし座流星群は、要注意です。さらに、ペルセウス座流星群以外の主だった流星群が月明かりで邪魔されない時期に見られる事も観察のチャンスと言えるでしょう。
  以下に、比較的沢山の流星が見られる流星群のデータを示します。じっくり観察するのも、また写真撮影を試みるのも面白いと思います。
  写真撮影は、固定撮影でも充分で、ISO400程度の 高感度フイルムを使用し、輻射点の星座を中心に５分程度の露出で 連続して何枚も撮影して見ましょう。なるべく広い範囲を撮影する為に広角か標準レンズが 適当でしょう。
  
  

  群名	活動時期	予想極大 時期	極大時 の方角	極大時 の月齢	観察条件 月の影響	個数	特徴
  しぶんぎ （りゅう座ι）	1/ 1− 1/ 5	1/ 4 01時	北東	５	最良	数十	極大時の一晩 に集中
  ペルセウス座	7/20− 8/20	8/13 未明	北東	２０	月明かり 有、悪い	数十	明るい流星が 多い
  ジャコビニ （りゅう座）	10/ 8−10/ 9	10/8の夜 から10/9 の未明	北	１８	月明かり 有、悪い	例年 は少 ない	母彗星が回帰 もしかすると 大出現か？
  しし座	11/15−11/22	11/18 未明	東	２８	最良	多数	母彗星が回帰 大出現が期待 出来る
  ふたご座	12/ 7−12/18	12/13から 12/14の夜	東	２４	最良	数十

  表中の個数は、極大時の１時間当たりの流星の予想数です。
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